『「ユダヤ」の世界史』を読んで

臼杵陽著『「ユダヤ」の世界史』(作品社)を読んだ。 ユダヤ人の世界離散について、聖書信仰に立つ私たちは、単純に「神のさばきを受けたユダヤ人たちは、大国に滅ぼされて強制的に外国に移住させられた。だから、イスラエルの地に帰って祖国を再建することが彼らの願いであり、それを実現するというのが、預言された神の約束である」と考えがちだ。 ところが本書では、今述べたような「強制的離散」…

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ホセア6:3をどう解釈するか

「私たちは知ろう。主を知ることを切に追い求めよう。主は暁のように確かに現れ、大雨のように私たちのところに来られる。地を潤す、後の雨のように。ホセア書6:3」 この箇所は、愛唱している人がいたり、賛美歌になっていたり、結構人気のある聖句である。しかし、前後の文脈で見ていくと、イメージが変わってくる。続く4節ではこのように言われている。 「エフライムよ、わたしはあなたに何をしようか。…

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『聖書の旅』を読んで

(2017年7月14日初出に加筆) 滝口鉄夫著『聖書の旅』(小学舘)を読んだ。(3年前に一度読んで旧版ブログに本稿を書いたのだが、今般再びこの本を読んだので、再掲する。)写真家である著者が、聖書の舞台を訪ねて収めた写真と旅の記録である。 「聖書の舞台」というとイスラエルだと思いがちだが、本書にはイスラエルの写真はあまり収録されていない。ナザレやカぺナウム、そしてエルサレムなど、全…

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