受肉の奇蹟~オリエント型の神とギリシア型の神~

今、井上浩一著『生き残った帝国ビザンティン』(講談社学術文庫)を読んでいるのだが、その中で、キリスト教の起源について興味深い考察があった。 以下、「オリエントの神、ギリシアの神」と題された項(145頁)からかいつまんで引用していく。著者は、「古代の地中海・オリエント世界ではふたつのタイプの神がみられた」と主張する。「ひとつは古代エジプトやバビロニアの神のように、全知全能で、近づきがたい超…

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アブラハムのすえをとわに

アドベント(待降節)である。イエス・キリストの降誕を祝うクリスマス(降誕節)を待ち望み、心備える期間だ。この時期によく歌われる賛美歌のひとつに「わがこころは」がある。(『讃美歌(1954)』95番、『新聖歌』67番。)ルカ1:46~55のいわゆる「マリアの賛歌」を歌ったものだ。 私はこの5節が好きである。「アブラハムの すえをとわに かえりみ イスラエルを 忘れまさで 救いたもう とうとさ…

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