世界史の教科書に載っていた「4世紀前半ごろのキリスト教徒の分布」という地図によると、小アジア(アナトリア半島)、すなわち現在のトルコは「人口の半数以上がキリスト教徒であった地域」となっている。当時、世界で最もキリスト教徒が多い地域だったのだ。
ところが、「世界宣教地図」か何かだったと思うが、現代のキリスト教徒の分布を国別に示したある地図によると、トルコはキリスト教徒が人口のほぼ0パーセントだという。千数百年の間に、キリスト教がイスラム教に駆逐されてしまった形だが、「世界でいち早くキリスト教が広まった地域は、その分衰退するのも早かったのだろうか」などと思っていた。
ところが、トルコのキリスト教徒減少は、単なる時間の経過による自然減ではなかったのである。20世紀のはじめまでは、トルコにもキリスト教徒がいた。しかし、革命によってトルコが共和制になった時、トルコ国内のキリスト教徒は「ギリシア人」と見なされてギリシアに追放されてしまった。一方、ギリシア国内にいたイスラム教徒は「トルコ人」と見なされてトルコに追放された。「住民交換」である。トルコは、人為的・強制的に、長い歴史を持つキリスト教徒を消滅させたのだ。多くの人々が難民となり苦労したようである。
トルコと、ギリシア。これらの地域は、かつてパウロたちが伝道して回り、聖書の書簡の宛先となった教会や、黙示録の七つの教会が存在したところである。聖地イスラエルと並ぶ聖書の舞台だ。現在はイスラム教徒ばかりが暮らすトルコ、キリスト教国だがその信仰が形骸化しているギリシア(「聖書の民がキリストを信じるように」http://cavazion.seesaa.net/article/470414408.html参照)、そして未だイエスをメシアとして受け入れていないイスラエル。注目と、とりなしが必要である。

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