クリスマスと宗教改革

クリスマスは「イエスの誕生日」ではなく、実際は異教の偶像礼拝に起源がある……ということを知った時ひどいショックを受けた、という話は以前書いた。(「仮庵祭にイエスの降誕を思う」http://cavazion.seesaa.net/article/505285027.html 参照。)その時、「なぜ、聖書に根拠のない風習がことごとく否定された宗教改革で、クリスマスだけはその対象にならなかったのか」という疑問を抱いた。何しろ、マルチン・ルター自らクリスマスツリーに灯りを点して積極的に祝っているのだ。宗教改革者も手をつけられない……それほどまでに、クリスマスに秘められた「魔力」は強いのか、とさえ思った。

ところが、その後も学んでみると、そうではないことがわかって来た。英国の宗教改革者たち、いわゆるピューリタンは、クリスマスを非聖書的なものとして廃止・禁止していたのだ。やはり、聖書に立ってクリスマスに疑問を持つ人々はいたのである。

そして彼らが建国したのがアメリカだ。だから初期のアメリカではクリスマスが禁止されていたという。これについて、タラ・ムーア著『図説クリスマス全史』(原書房)で紹介されたある宗教学者の考察によれば、アメリカではクリスマスの存在を無視しようとした結果、無宗教のクリスマスが広がり、今日のような世俗的なクリスマスが発展するに至ったという。(「『図説クリスマス全史』を読んで」http://cavazion.seesaa.net/article/496411204.html 参照。)だとしたら皮肉というほかない。いや、ある意味先祖返りとも言える。何しろ、原初のクリスマスはキリストとは無関係の異教の偶像礼拝だったのだから。

それにしても、そこまでされてもしぶとく生き残り、世界に広まっているクリスマス。本当に、「魔力」が秘められているのだろうか。

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