北の国から〜預言の成就〜

「それゆえ、見よ、その時代が来る──主のことば──。そのとき、もはや人々は『イスラエルの子らをエジプトの地から連れ上った主は生きておられる』と言うことはなく、ただ『イスラエルの子らを、北の地から、彼らが散らされたすべての地方から上らせた主は生きておられる』と言うようになる。わたしは彼らの先祖に与えた彼らの土地に彼らを帰らせる。(エレミヤ16:14-15)」

前後の文脈から、明らかにバビロン捕囚からの解放に関する預言である。「北の地から」という方角が強調されている。だがバビロンはイスラエルの地から見て東だ。これは、当時のバビロン(メソポタミア地方)からイスラエルに至る交通路が、砂漠を避けてユーフラテス川沿いに北回りのルートをとっていたためである。

しかし、ひとつの預言には二重、三重の意味が込められているのが常だ。ここで、「彼らが散らされたすべての地方から」とも言われている。明らかに、バビロン単独ではない。むしろ、ローマ帝国によって滅ぼされ、全世界に離散し、千数百年を経て現代に至る、ユダヤ人の現状に合っている。

確かに、ユダヤ人たち・イスラエルの子らは、彼らの先祖たちに与えられた土地に帰ってきた。19世紀に盛んになった「シオニズム運動」の流れに乗って、多くのユダヤ人たちがイスラエルの地に移り住んだ。そして1948年には、「イスラエル国」として独立を果たしたのである。

それで話は終わらない。預言では、「北の地から」の帰還が強調されていた。イスラエルから見て北の地。単純に考えるなら、ロシアである。1990年代、ソ連の崩壊に伴って大勢のユダヤ人がロシアやウクライナからイスラエルに帰還した。その流れはその後も続き、ロシア系イスラエル人は一大勢力となっている。そして今も、ウクライナ戦争の影響でこれらの地を離れ、イスラエルに向かうユダヤ人たちがたくさんいるという。

私たちは今、聖書の預言が文字通り成就していることを、目の前で見ることができる時代に生きている。それは、聖書のみことばを語られた神が、今も生きておられることのほかならぬ証しである。

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