キリシタンの反ユダヤ主義

ホアン・カトレット著『薩摩のベルナルドの生涯』(教友社)を読んだ。(厳密に言うと、ずっと前に一度読んだのだが、今回本稿を書くに当たり確認のため図書館で借りて再読した。)薩摩のベルナルド、あるいは鹿児島のベルナルドは、かのフランシスコ・ザビエルが2番目に洗礼を授けた日本人である。本来の日本名は苗字が「河辺(かわなべ)」であったらしいというほかはわかっていない。彼はまだ若い武士であった。ザビエルに忠…

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福音派の聖書の読み方に対する批判の実例

岩城聰著『鳥瞰するキリスト教の歴史』(ベレ出版)を読んだ。キリスト教の通史であるが、一般史に関する記述も多く、その枠組の中でのキリスト教の位置づけがわかるようになっている。平易な語り口で読みやすかった。著者が聖公会の牧師であるためイングランド国教会・聖公会の記述が詳しいが、それがまた貴重である。 一方、「信徒以外の方にも理解していただけるように、できるだけ客観的な記述を行うように心がけま…

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十字架はグロテスクのインフレーション

今、中山茂大著『旅人思考でイスラムと世界を知る本』(言視舎)を読んでいる。イスラム圏を中心に世界を旅した著者が見聞きした、一般市民の生の姿を描き出すショートエッセイ集である。1話につき1〜2頁という短さと、平易な語り口、そして内容のおもしろさからスラスラと読めてしまう。半分ほど読んだところだが、気になる記述が出てきたのでちょっと立ち止まってみた。 この著者、イスラム贔屓(信徒ではない)の…

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