ペスト禍のさなかにユダヤ人を保護したローマ教皇

ベネディクト・セール著『キリスト教会史100の日付』(白水社)という本を読んでいるのだが、その中で興味深いエピソードを見つけた。 14世紀のローマ教皇クレメンス6世は、贅沢の限りを尽くし、大貴族のようにふるまっていた。ところがその治世にペストの大流行が起こり、多くの人々が死んでゆく。不安にかられた民衆は病気の原因をユダヤ人のせいにして、彼らを迫害して火あぶりにするなどした。 この時ク…

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杉原千畝の宗教観

古江孝治著『杉原千畝の実像』(ミルトス)を読んだ。ナチスに追われたユダヤ人たちのためにビザを発行し続け、彼らの命を救った杉原千畝のことはよく知られているが、その生涯について、丁寧に史料に当たり「実像」を明らかにした本である。杉原の子息が推薦文で「今まで真実の杉原千畝を伝えた書籍はないといっても過言ではない」と述べているが、美談としての脚色や、事実誤認から流布している杉原のエピソードについて、それ…

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