私がイスラエルについて語る訳

私がイスラエルについて発言すると、批判されることがある。その中に、「それはディスペンセーション主義神学だ」というものがある。ディスペンセーション主義神学ということばについては、以前から知っていた。だがその内容については、何度か学んでみたのだが、難しくていまいちよく理解できない。確かに自分の立場に似ているようでもあるが、どこか違うようにも思う。 そもそも私は「神学」を掲げてイスラエルについ…

続きを読む

複雑なウクライナの正教会事情

高橋沙奈美著『迷えるウクライナ』(扶桑社)を読んだ。ウクライナのキリスト教の歴史と現状について書かれているのだが、同国の宗教事情はかなり複雑である。 ロシア帝国ないしソ連の支配下にあった時代、ウクライナはロシア正教会の管轄であった。ソ連末期になるとウクライナの正教会に自治権が与えられ、「ウクライナ正教会」が成立する。しかしこの教会は組織上はロシア正教会の範疇にあり、立場もロシア寄りの姿勢を…

続きを読む

長谷川町子の信仰

『サザエさん』の作者、故長谷川町子が、クリスチャンホーム生まれのクリスチャンであったことは有名である。ただ、聖霊の導きの下自らの意思で信仰を持った、いわゆる「ボーンアゲイン」したクリスチャンだったのか、単に「家の宗教がキリスト教」というだけの「宗教二世」に過ぎなかったのか、疑問に思っていた。というのも、『サザエさん』を読んでいると、確かに教会が出てくる話も稀にあり、クリスチャンでなければ思いつか…

続きを読む

もしイスラエルに関する聖書の預言が成就しているのなら

現在の「イスラエル国」の存在は、聖書の預言の成就なのだろうか。 ある人々は、イスラエルが紛争を繰り返していることを見て困惑し、政治的立場から、イスラエルの正統性を否定する。またある人々は、イスラエル人の大多数が未だイエスを信じていないことを見て、現在の「ユダヤ人」たちは「自称イスラエル人」に過ぎないと見なす。 ところで、バプテスマのヨハネが、イエスが本当にキリスト(救い主)なのかど…

続きを読む

イスラエル・ハマス戦争に対する声明文に覚える違和感

教会で、日本福音同盟(JEA)による「イスラエル-ハマスの紛争に対するJEA社会委員会声明」と、日本福音キリスト教会連合(JECA)による「イスラエルとパレスチナ情勢の問題について」と題する文書が配布された。 双方大体似たような内容であるが、突っ込みどころが満載であった。さっと流し読みしただけでも次のような感じである。 ・民主主義主権国家イスラエルと、犯罪集…

続きを読む

イスラエルの選びは変わらない

イスラエルと、テロ組織ハマスとの戦争が続いている。そのためガザ地区で多くの人命が失われていることを受けて、イスラエルに対する激しい非難の声が世界中から上がっている。だが、初めにハマスが行った残虐非道なテロの数々や、ハマスが一般市民を「人間の盾」にしていることは、忘れられている。キリスト教界でも事情は同じで、パレスチナへの同情・連帯を示しつつ、翻ってイスラエルを批判する声が少なくない。 その…

続きを読む

受肉の奇蹟~オリエント型の神とギリシア型の神~

今、井上浩一著『生き残った帝国ビザンティン』(講談社学術文庫)を読んでいるのだが、その中で、キリスト教の起源について興味深い考察があった。 以下、「オリエントの神、ギリシアの神」と題された項(145頁)からかいつまんで引用していく。著者は、「古代の地中海・オリエント世界ではふたつのタイプの神がみられた」と主張する。「ひとつは古代エジプトやバビロニアの神のように、全知全能で、近づきがたい超…

続きを読む

アブラハムのすえをとわに

アドベント(待降節)である。イエス・キリストの降誕を祝うクリスマス(降誕節)を待ち望み、心備える期間だ。この時期によく歌われる賛美歌のひとつに「わがこころは」がある。(『讃美歌(1954)』95番、『新聖歌』67番。)ルカ1:46~55のいわゆる「マリアの賛歌」を歌ったものだ。 私はこの5節が好きである。「アブラハムの すえをとわに かえりみ イスラエルを 忘れまさで 救いたもう とうとさ…

続きを読む

初期のキリスト教は去勢を讃えていた?

井上浩一著『ビザンツ 文明の継承と変容』(京都大学学術出版会)を読んだ。以下、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)の宦官について解説された章の中の記述についてである。尚、宦官とは主君に忠実に支えるため、去勢(生殖器の切断)手術を施された男性のことだ。原始キリスト教は宦官に好意的だったとして、マタイ19:9~12を引用している(233頁)。 「結婚できないように生まれついた者、人から結婚できないよう…

続きを読む

ユダヤ人の神は私たちの神

ユダヤ人を選び、彼らを愛し、彼らへの約束を守って彼らを世界中からイスラエルの地に連れ上り、再び国を建てさせられた神。この真実で恵み深い神、主が、その御子イエス・キリストの十字架のみわざを介して、私たちの神でもあられるのである。 それとも、神はユダヤ人だけの神でしょうか。異邦人の神でもあるのではないでしょうか。そうです。異邦人の神でもあります。神が唯一なら、そうです。ローマ3:29~30 …

続きを読む